相続税法
相続税法は相続税と贈与税について規定しています。したがって税法科目の中で唯一1税法2税目という大きな特徴があります。同じ法律のなかで異なる税目を扱うため学習の難易度は高いです。また大半の相続税法の受験生は税理士科目を既に複数合格済みの猛者のため受験生同士の競争も激しいです。
ただし条文数が法人税法や所得税法などと比較して半分程度と少なく、出題傾向も比較的安定しており理論の解答がベタでよいため、ハイレベルな戦いとなりますが努力が報われやすい受験科目となっています。
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相続税法の申告は儲かる
一般的に相続税の申告は納税額が数千万円になることがざらです。したがって税理士報酬も法人税申告よりかなり高額となり、税理士として一番おいしい業務だと言われます。ただしその分計算方法により税額がガラリと変わってしまったり適用の選択ミスなどにより税額がガラリと変わってしまうことがあります。
そして何より宅地の評価はケースバイケースで不整形地の場合などかなり難易度が高いこともあります。したがって税理士報酬で高額が期待できる反面税理士賠償も高額となるため税理士にとって非常にリスクが高い業務と言えます。
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財産評価は法人税法の申告でも使う
相続税は法人税や所得税などのように所得に対して課される税金ではなく個人が所有する財産に対して課される税金です。したがって法人税法や所得税法とは異なり財産評価という論点を学習します。財産評価を学習するのは税理士試験の中で相続税法だけであるのと同時にこの財産評価は相続税や贈与税の計算以外の法人税などの税理士実務でも結構使います。その際に全く知らないでは話になりませんので相続税法に合格していない税理士は税理士として半人前だと言っても過言ではありません。やはり税理士の王道の受験科目は法人、所得、相続となります。
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相続税法は独学では習得不可能
消費税や所得税や法人税であれば、市販の基本書や実務書などを読んで独学することによりある程度実務をこなすことが可能です。理由としては大半の実務は受験より単純なケースがほとんどだからです。また毎年やることはだいたい同じだからです。
しかし相続税法に関してだけは独学では習得することは不可能だと言われています。その理由は、相続税法は1税法2税目となっており計算の仕組みが他の税法より複雑になっていること、法人税などのように毎年同じようにやってればよいわけではないこと、さらに相続税の計算は様々な特例がレイヤー上に重なり合っていて個人ごと財産の内容が異なるため毎回の申告ごと税額計算がケースバイケースとなることなどが挙げられます。
したがって見様見真似では太刀打ちできないため相続税の申告実務を行うためには税理士試験を通じて相続税法を学習しておくことが必須です。
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相続税法の理論の傾向
相続税法の理論の傾向は例年ほぼベタ書きとなっています。消費税法もベタ書きの傾向が高いですが相続税はよりその傾向が強いです。また、消費税法の理論は覚えにくいとされていますが、相続税法の理論は消費税法の理論よりさらに覚えにくいです。理論暗記の負担は消費税の数倍くらい重いです。
ただし毎年だいたい受験専門学校が予想する出題予想理論の中から出題されるため暗記している箇所が出題されさえすれば合格答案を作成できるため、法人税法などと比較すると理論の対策は断然に楽です。
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相続税法の計算の傾向
相続税法の計算は、土地と非上場株式の財産評価が最高難易度となっています。土地と非上場株式の財産評価は税理士試験の受験においても最高難易度と言われています。それ以外の他の論点に関してもケアレスミスを起こしやすい箇所がかなり多いため相続税法に合格するためには正確な計算力が要求されます。
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法人税法は所得税法と並んで税理士試験の最難関科目とされている科目です。法人税法は、将来税理士として仕事をしていくには絶対不可欠な知識であるため、同じく選択必須科目である所得税法より受験者数が毎年約2倍多いです。
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所得税法は税法科目で最も条文数が多く、法人税法と同様にかなり広い範囲から出題されます。計算の構造は法人税法と似ていますが、法人税法とは異なり、所得を10種類に区分するという特徴があります。
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消費税法は1989年から税理士試験の受験科目となっており、試験自体まだまだ歴史が浅く、条文数も少ないです。また簿記論財務諸表論に合格した受験生の大半が最初に受験する税法科目であるため、税法科目の中では受験生のレベルも比較的高くなく合格しやすい科目といえます。ちなみに毎年受験者数が1万人弱と最も受験者数が多い科目になっています。
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相続税法は1税法2税目という大きな特徴があります。条文数が法人税法などの半分程度と少なく、近年の本試験での出題傾向が安定しており理論の解答がベタでよいため、ハイレベルな戦いとなりますが努力が報われやすい科目となっています。
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